龍谷大学のセクシュアルマイノリティアンケートを見て

 
The following two tabs change content below.
熊野海斗

熊野海斗

戸籍変更・SRS(内摘・尿道延長)済の30代FTMゲイです。トランスとしての体験談に加え、FTMゲイという観点から、性指向の問題についても執筆していこうかと思います。

龍谷大学が、学生と教職員を対象にセクシュアルマイノリティに関するアンケートを行い、その報告を発表しています。
龍谷大学(龍谷大学におけるセクシュアルマイノリティの現状とニーズに関するアンケート調査)
これについて、FTM当事者の立場から感じたことを書いてみたいと思います。

LGBT=セクシュアルマイノリティではない

アンケートの分析において、このような文章がありました。

仮に「出生時の性と自認する性が一致し異性を好きになる」と回答した人以外を、セクシュアルマイノリティと考えるならば、全回答者858人のうち220人が該当します。しかし、該当した人(220人)のうち90人が、別の設問(設問9)で「LGBTの当事者ではない」と回答しており、必ずしも自らをセクシュアルマイノリティと認めているわけではないと考えられます。
(p7)

これはおかしくないですか。設問9の回答からは、「LGBTの当事者」と本人が認めているかどうかを読み取れるにすぎないのであって、「自らをセクシュアルマイノリティと認めているわけではない」ことは判断できません。
つまりLGBTとセクシュアルマイノリティ(「出生時の性と自認する性が一致し異性を好きになる」人以外)を同義と考えたから、このような表現になったのでしょう。しかし、アンケート回答者はそう考えているとは限りません。
「LGBT」が、LとGとBとTの頭文字として説明されることから、それ以外、つまりクエスチョニング等の当事者が、セクシュアルマイノリティ当事者だとは認めつつも「LGBTの当事者ではない」と回答した可能性が考えられます。
また、LGBTという言葉を使わない、そのようなカテゴリには入れられたくないという当事者もいます。つまり、上記セクシュアルマイノリティの定義に当てはまっていると認めていても「自分はLGBTなどというものではない」という当事者もいます。
「セクシュアリティのあり方を分類に当てはめて考えるのではなく、「その人自身がどう考えているか」ということを基準に考える必要があると言えます」(p7)と言うならば、LGBTという言葉を勝手にセクシュアルマイノリティと読み替えるべきではないでしょう。
「短期間にアンケートを作成したため設問内容などを十分に精査できなかった点もありますが」(p2)ということなので、これからの取り組みにおいては、用語についても十分に注意を払うと、より正確な調査になるかと思います。

LGBとTの違い

調査結果から明白なことの一つは、セクシュアルマイノリティを嘲笑する発言というのは、ほとんどがLGBに関するものだということです。とくにGが多い印象がありますね。
一方、Tに関しては「オカマ」という語が見られるものの、嘲笑するようなものは少ないです。それよりも、「男子と女子の扱いを分ける」といったことに関して、問題になることがある感じです。
これはまさに「トランスジェンダーは性同一性障害として認知度が高いから悪く言っている人は見たことはない。だけどレズ、ゲイ、バイを気持ち悪いと言っている人はごく稀に大学で見かける」(p21)のコメントでも指摘されていました。
そうすると、LGBとTではカミングアウトのしやすさに差があると思われ、別々に考えたほうが良い問題ではないでしょうか。
またカミングアウトというのは、そもそもLGBとTでは意味合いが異なります。Tでは、カミングアウトにも主に2種類あり、「埋没している人が出生時の性を言う」場合と、「出生時の性で生活している人が性自認の性を言う」場合があります。
LGBとTの2種類のカミングアウトは、どれも性質の違うものであり、それを分けて考察することでより深い分析と効果的な対策ができると思われます。

トイレの問題について

あとは、やはりトイレに関しての意見がいくつかありますね。これに関し、性別に関係なく誰でも使えるトイレの設置と配置マップの作成が提案されています。これはTの当事者にとって、とても助かることでしょう。
ただ、私は大学時代は男子として埋没しており、基本的に男子トイレを使っていました。そのようなFTMがいることを考えると、男子トイレ内の個室数を増やしたり、個室内にゴミ箱を設置してくれるとありがたいと思います。

さいごに

私は大学時代、個人的に学校側に説明し、健康診断や更衣室などの配慮をしてもらっていました。でも、大学としてセクシャルマイノリティの対応をしていることはどこにも明記されておらず、多目的トイレなども少なく、相談できないまま困っている当事者もいたかもしれません。
大学をあげての取り組みがあることで、当事者は安心して勉強や学生生活に専念できます。このような取り組みが、多くの大学に広がってくれればいいと思います。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でGIDnaviをフォローしよう!

The following two tabs change content below.
熊野海斗

熊野海斗

戸籍変更・SRS(内摘・尿道延長)済の30代FTMゲイです。トランスとしての体験談に加え、FTMゲイという観点から、性指向の問題についても執筆していこうかと思います。
GID保険相談窓口
熊野海斗

熊野海斗SRS(内摘・尿道延長)済の30代FTMゲイ

投稿者プロフィール

戸籍変更・SRS(内摘・尿道延長)済の30代FTMゲイです。トランスとしての体験談に加え、FTMゲイという観点から、性指向の問題についても執筆していこうかと思います。

この著者の最新の記事

関連記事

ピックアップ記事

  1. なんて複雑なんだ私 トランスジェンダーでMTFだと「女」って物に必要以上に固執してしまうし、まわり…
  2. 小学校の中学年になると、保健体育の授業で、身体精神の成長、具体的には第二次性徴について扱う単元があり…
  3.  どんなおくすりでもそうですが、ホルモン注射にも副作用はついて回ります。そしてその、副作用の苦しさは…
  4. FTMの治療といえばまずはホルモン注射ですが、たぶんホルモン注射のメジャーどころは エナル…
  5. 性同一性障害の当事者が結婚したいと考えた場合、どうすればいいのでしょうか。その答えを簡単に言うと、「…
ページ上部へ戻る
Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.