2017年5月28日更新

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レズビアン男性、ゲイ女性、そしてGID

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熊野海斗

熊野海斗

戸籍変更・SRS(内摘・尿道延長)済の30代FTMゲイです。トランスとしての体験談に加え、FTMゲイという観点から、性指向の問題についても執筆していこうかと思います。

この記事のタイトルを見て、間違っていると思われたかもしれません。レズビアンは女性の同性愛者、ゲイは男性の同性愛者を指すからです。
でも、タイトルを間違えたわけではありません。今回は、レズビアンの男性とゲイの女性について書いていきます。
ちなみに、アメリカなどでは女性の同性愛者のこともゲイという場合もあるようです。でも今回は、日本の一般的な使い方に従い、ゲイという語は男性同性愛者の意味で使います。

レズビアンの男

「レズビアンの男性」という考え方は、牧村朝子『百合のリアル』に書かれていたものです。まきむぅ(牧村)が「女を愛せる男」だと思っていた人(以下、この人をAさんとします)が、このように言ったそうです。

自分の体は男で、恋愛対象は女だ。自分は女言葉を使うわけでもないし、女の体になりたいわけでも、女の服を着るわけでもない。けれど、自分はレズビアンじゃないかと思う。恋人といるときに、自分たちを女同士だと想像すると、すごくやさしい気分になって、胸がときめく。相手にうまく言えないし、自分でもなぜなのか理由がわからない。けれど、自分を異性愛者だと思うより、レズビアンの男だと思う方がしっくりくるんだ
(牧村朝子 2013 『百合のリアル』星海社新書 p74)

これを読んで、私が注目したのは「女同士だと想像すると、すごくやさしい気分になって」というところです。
ここから、上野千鶴子の文章を思い出しました。

性欲と権力関係の結びつき

上野千鶴子はこう言っています。

強姦者や買春者たち(もっとありていに言おう、相手の意思と無頓着に性行為を行うことのできる、大多数の、つまりふつうのセクハラ男たち)にとっては、性欲というものじたいが、その相手をおとしめる権力関係とむすびついている。
(上野千鶴子 1998 『発情装置 エロスのシナリオ』筑摩書房 p79)

性欲自体が、相手をおとしめる権力関係と結びついているような例は、いくつかあげられるでしょう。上野の文章にある、強姦、買春、セクハラはそうです。そしてAVなどでは、暴力的なもの、つまりレイプものだったり、痴漢、盗撮といったものが見られます。
このような状況から、男女の性的関係というものは相手をおとしめるもの、それも多くは男性が女性をおとしめるものであるというイメージが、知らず知らずのうちに、頭の中に植えつけられていく人も少なからずいると思います。

それが男性であれば、自分の好きで大切に思う女性を、おとしめるという感覚を味わうことになります。
ところが、その男性が「レズビアン」であれば、男女の間のそのような権力関係を感じずに済みます。相手の女性を、おとしめることなく、好きで大切に思える、だから「やさしい気分」になれるのではないでしょうか。

もし自分が女性であれば、自分が好きで大切に思う男性から、おとしめられると感じることになります。
ところがその女性が「ゲイ」であれば、相手の男性からおとしめられることなく、対等な立場で相手を大切に思えます。

それが〈レズビアンの男性〉〈ゲイの女性〉ではないかと、私は考えました。
もちろん、Aさんが、本当にこのような理由で、「レズビアン」であるのかどうかはわかりません。
しかし、この概念は、大切なものだと思うのです。

GIDと〈レズビアンの男性〉〈ゲイの女性〉

それは、これがGIDの問題と関わってくるからです。
Aさんは、自分を「レズビアンの男」と表現することができました。でも、その状態がよくわからず、悩んでしまう人もいるかもしれません。
そして、「自分は性同一性障害かもしれない」と考える可能性もあります。
性同一性障害や、ゲイ、レズビアンという言葉はよく知られてきましたが、〈レズビアンの男性〉などという考え方はほぼ知られていないからです。よって、わかりやすい方向、「自分は性同一性障害の女性で、レズビアンだから、女性として女性と付き合いたいのだ」と思うかもしれません。
別にそれでも良いのです。それで本人が満足できる生き方ができるなら、なんの問題もないかと思います。
ただ、Aさんのように「女の体になりたいわけでも、女の服を着るわけでもない」という人なら、本当に自分はMTFなのか、と悩むかもしれません。また、ホルモン治療や手術をしてしまってから、やっぱり自分はMTFというわけではなかった、と後悔する可能性もあり得ます。
これらはFTMだと思っている〈ゲイの女性〉にも同様に当てはまります。

おわりに

さて、これを読まれたあなたは〈レズビアンの男性〉ですか〈ゲイの女性〉ですか。もしくは〈MTFのFTM〉でしょうか、〈男性の女性〉でしょうか。あるいは〈レズビアンのゲイ〉?〈バイセクシュアルのアセクシュアル〉?
これらは、性の3要素または4要素(性自認、身体的性、性的指向、性表現)を超えたところにある概念でしょう。「性の多様性」は、そのような場所にあると思われます。

 

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戸籍変更・SRS(内摘・尿道延長)済の30代FTMゲイです。トランスとしての体験談に加え、FTMゲイという観点から、性指向の問題についても執筆していこうかと思います。

*記事は各ライター個人の体験談や考えでありGID当事者全員の考えを表しているものではありません。
またその内容によって特定のセクシャリティーを差別するものではありません。
*治療などの医療行為は医師にご相談ください。

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