
田中 実

最新記事 by 田中 実 (全て見る)
- LGBTフレンドリー企業を集めた日本最大のダイバーシティ合同説明会が3月10日五反田にて開催 - 2018年2月14日
- 性適合手術いよいよ来年から保険適用へ - 2017年11月30日
- 「OUT IN JAPAN」写真展&多様な性とダイバーシティ講演会 -多様な生き方を地域で支えるものとは- - 2017年10月30日
- 一般社団法人 gid.jp 日本性同一性障害と共に生きる人々の会の理事長と会ってきた! - 2017年8月18日
- 【第3回LGBTの輪】人に何か伝えたいのなら相手を受け入れる「雛菊さん」をご紹介します! - 2017年8月15日
GIDナビに取材の依頼を直接くださったFTMのアンジェさん。
「自分たちの結婚式を取材してほしい」とのことでまず最初にお話を伺うことにしました。
取材当日、奥様がなんと数日前に交通事故で顔面骨折の大怪我をしてしまったそうでこの日の取材は残念ながら奥様は欠席。
アンジェさん一人の取材となりました。
アンジェさんご夫婦は見た目は男性と女性そのもの。アンジェさんはFTMで奥様はMTFという逆転夫婦です。
ただ訳あってお互いの戸籍の変更は行わず生まれた時の性別のままで入籍したご夫婦です。
今回、お二人が顔を出してまで世に発信しようと決めた理由など聞いてきました。
自分から発信しようとした理由を聞かせてください
FTMとMTFの結婚じゃないですか、東京では結構いると聞きますが、僕は元々名古屋出身でそれまでまったくMTFさんとの接触がなかったんです。
付き合うとかも全く考えられなかったんです。
そして地元の友達に行った時に「なんで?」と言われたんです。
僕に対して偏見は全く持っていないのに逆の人と付き合ったらそう言われて自分としては悔しいしいろんな愛の形があることを自分たちから発信したいと思いました。
結婚式もするしLGBTを世の中に知ってもらうきっかけとして何か出来ないかなと思いメディアなどに声をかけました。
僕の想いも世の中に発信できるし、単純に僕の気持ちを周りに知ってもらいたいです。
ご結婚されたとのことですが、お互い戸籍は変えられたのですか?
変えてないです。
それは珍しいんでしょうか
珍しいと思います。上京してSRS手術もしているのですが国籍がフィリピンなんです。
戸籍を帰るためには帰化しなければいけません。その手続きがすごく大変で一回チャレンジしてみたのですがお金もかかるし時間もかかるしで一度諦めました。
それに合わせて今の嫁と会う前の失恋でもう結婚はいいやとまで考えていました。
でも上京して今の人と出会って、嫁は戸籍を変更しておらず、男性のままだったので結婚する事ができました。
ご両親はご結婚に関して何かおっしゃっていますか?
父親がフィリピンにいるのですが多分Facebookで知っていると思います。
母親は「あなたが幸せならいいんじゃない」と言っています。
カミングアウト前は母親はボーイッシュなレズビアンだと思っていたようで、第三者に紹介する時は必ず「実は娘なのよ」というのがすごく嫌でした。
でも カミングアウトした時は「あなたが笑顔でいられるなら私の子供だから関係ないわ」と言ってくれました。
結婚相手をMTFの人を選んだ理由は何ですか?前までは恋愛対象ではなかったんですよね?変わったきっかけってあったのでしょうか。
今までは普通の女の子と付き合ってきましたが浮気をされて別れることが多かったんです。
結局女ってちんこに逃げるんだ・・wみたいな感じで思ってて、絶対恋愛なんてしないとネガティブに思ってたんです。
実際MTFの人と付き合って同じ傷を持っているというか、嫁も男性と付き合っていてもいざとなったら女の子の方にいってしまったことがあったらしく。
今まで付き合ってきた女の子ってやっぱりトランスジェンダーの気持ちってわからないじゃないですか。
付き合っていても、どこかしらで僕の辛さを知らないくせにわかったフリするなよってどこかしらで思ってたんでしょうね。後から気がついたことですが。。
いざMTFの人と付き合ってみて、同じ傷を分かちあえるというか完全に分かり合えるというか・・そこが一番大きかったです。
僕も最初MTFの人と関わったことないし、まず夜の営みは今まで通りで通用すんの?wって思ってたんですけど一緒に時間を過ごすにつれて一人の女性として見ています。
自分もどこかで偏見を持っていたんだなって気が付きました。
向こうは最初からFTMってわかっていたんですが、変な目とかじゃなく男性としてみているといってくれました。
普通の恋愛というかFTMだけど男性、MTFだけど女性・・というように自然になっていきました。
僕はまわりにMTFと付き合っていると、最初言えないなぁと思っていました。
やっぱり予想通り周りがいい反応をしなかったです。それがすごく悔しかったです。
結婚式を挙げるにあたって式場の人とかの反応はどんな感じだったんですか?
最初は見学に普通の男女としていっただけだったのですが自分たちで結婚式を創り上げるというのが自分たちに合っていると思い決めました。
そこでカミングアウトをしたのですが偶然にもLGBTの本を出版されているオーナーさんということで、偏見もなかったです。なのでとても運がよかったですね。
お互い戸籍を変えずに生活するうえで困ったことはありますか?
婚姻届が普通に受理されないというのが困りました。
僕は外国籍なので正式な名前はローマ字で書かなければいけないんです。
僕が妻の欄に名前を書くことになるわけなのですが、僕の在留カードとパスポートを出しても見た目が男なのに書いてる欄が妻じゃないですか。
なので「逆ですよ!」と言われ「いや逆じゃないです!、見た目と逆なんですよ」というと、
担当した区役所の・・おばちゃんだったのですがとても声が大きくて、
「か、確認していいですか!?新郎と新婦でよろしいですか!!??」と3,4回繰り返されましたw
もう市役所中がざわめいて「何?何?」みたいな雰囲気になってしまいましたw
あとは生命保険に申し込む時に嫁が本籍を移すことになったんです。
その変更手続きが電話でも出来るということだったのですが、本名と今の名前が違うので「ご本人様でお願いします」と言ってなかなか取り合ってくれなかったです。
最初の男の名前で先入観が出来てしまっているのか、声と名前のギャップのおかげで大変でした。
これから先、お子さんとか考えてらっしゃいますか?
今お互いすでに生殖機能がないので子供はほしいとは思っていますがどういう方法でというのはまだ決めていません。
ただお互い家庭環境があまりよくなかったので普通に幸せな家庭を作りたいねっていうのを話しています。
お互い出会う前に生殖機能がない状態だった・・ということですか?
そうですね。
出会って1年半ということですがすぐ結婚に踏み切った理由はなんですか?
嫁が付き合うなら真剣な付き合いでないと嫌だという人だったというのもあります。
初めてのMTFということで独特の性格とうか感情の起伏が激しくて・・一度別れようと話したことがありました。
それでも「私はあなたを想ってるし待ってるから」と言ってくれました。
まさかそんな風に言ってもらえるとは思っていなかったのでびっくりしました。
向こうは仕事の上司だったし水商売だったので偏見ですが腹黒い性格なのかなーと思っていたので
こんなに想ってくれる人がいるなら自分もちゃんとしなきゃと思いました。
恋愛にトラウマだった部分もあったのですが、結婚も出来るということもあって可能性もあるし、責任も持てるし、絶対的な束縛じゃないですけど、それで結婚しようかなと思いました。
まとめ
終始、笑顔でお話してくださったアンジェさん。ありがとうございました。
この後6月11日にアンジェさんご夫婦が結婚式を行います。
奥様の事故後の体調も気になりますが、よい結婚式を迎えられることを心より願っております。
その模様も取材させていただき、こちらでご報告させていただきますので引き続きお楽しみに!
最新情報をお届けします
Twitter でGIDnaviをフォローしよう!
Follow @gid_navi
田中 実

最新記事 by 田中 実 (全て見る)
- LGBTフレンドリー企業を集めた日本最大のダイバーシティ合同説明会が3月10日五反田にて開催 - 2018年2月14日
- 性適合手術いよいよ来年から保険適用へ - 2017年11月30日
- 「OUT IN JAPAN」写真展&多様な性とダイバーシティ講演会 -多様な生き方を地域で支えるものとは- - 2017年10月30日
- 一般社団法人 gid.jp 日本性同一性障害と共に生きる人々の会の理事長と会ってきた! - 2017年8月18日
- 【第3回LGBTの輪】人に何か伝えたいのなら相手を受け入れる「雛菊さん」をご紹介します! - 2017年8月15日
*記事は各ライター個人の体験談や考えでありGID当事者全員の考えを表しているものではありません。
またその内容によって特定のセクシャリティーを差別するものではありません。
*治療などの医療行為は医師にご相談ください。
