
元パスグッズ屋さん

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はじめまして、元パスグッズ屋さんです。
昔、FTM向けのパスグッズの企画、販売、制作をしていました。
もうかれこれやめてから5年ほど経つのでもしかすると今の若い方は知らないかもしれませんが当時は、一番売れていたパスグッズのお店だったと自負してます。
なぜパスグッズ屋さんをやろうと思ったのか
さて今回はなぜパスグッズのお店をやろうと思ったかという点についてお話します。
当時、ナベシャツを販売しているお店はまだ片手でも余るくらいしかありませんでした。
いわゆる「掲示板」といところで個人がボロボロになったナベシャツを譲り合っていました。
今では全く考えられない世界ですが。
ナベシャツ1枚にかかる費用が1万円。
まだ手術もしていなく、今ほどホルモン注射も安価で受けられる時代ではなかったので、1万円がとても高額に感じていました。
必ず必要なものなのに、しかもすぐボロボロになり胸を潰すという機能も危ういほど伸び切ったものを着る・・
あとは衛生面です。夏になると汗をかいてナベシャツが擦れて白くなるんです。
これ1枚しか持っていないって衛生的にもよくないですよね。
そこで考えました。毎日身につけるものに1万円は高すぎる、もっと安くて毎日取り替えられるものを自分で作ろうと。
日本で生産するにはコストがかかり過ぎました。材料費、人件費などを考えるととても安くは出来ません。
そこで知り合いの社長に相談。中国と大きいパイプのある社長です。
ナベシャツの試作品づくりを開始!
中国に日本向けの衣服を作っている工場を持っている知人を紹介してもらいました。
自分なりにこういうシャツがいいという企画を送り1枚テストで仕上がってきたのが数週間後。
それを試しに着用したときに愕然としました。
伸縮する素材を使用しても胸が潰れない、つまり伸びる力は強いけど戻る力が弱いため生地が伸び切ったままでした。
あとは、縫い合わせた糸。
糸が全く伸縮しないため、着用した際にブチブチと音を立てて切れてしまいました。
当事者は私だけ。ましてや相手は中国人。(少し日本語は話せますが細かいニュアンスが伝わらない)
普通の服ならまだしも特殊なものだったので細かいところまでうまく伝えられずに試作品第一号は失敗に終わりました。
ようやく完成!発売!
試作品を重ね、色々なモデルに着用してもらいました。
一番気を使ったのは潰れ具合です。
モデルをFTMではなく普通の女性で体型や胸のサイズが異なる人に何人にも着用させ
これもFTMではなく数人の男性に潰れ具合を確認してもらいました。
「着用した姿を見て胸があると感じるかどうか」
FTMの自己満ではなく、人から見てパスできてるかどうかを重要視しました。
やっと発売にこぎつけ、当時1万円で販売していたシャツを4,980円という破格で世に放ちました。
最初は1〜2件程度知り合いづてに売れていきましたが、1ヶ月後には発送が追いつかなくなるほどのご注文をいただきました。
この時、やってよかったなと、自分が考えたものに需要があったことがとても嬉しかったのを覚えています。
最後に
新しいことを始めると何かしらの妨害や、あれはだめだ、これはだめだと否定されるたり当事者から批判されることも実は多かったです。
ただ若い子が胸がすごく嫌だったけど、お金がなくて買えなかった、学校にも行けなかったけどこのシャツのおかげで自信を持って学校にいけそうです・・など批判の声よりも賛同していただいた声の方が多く、新商品の開発など励みになっていました。
今日はここまで。次回は仕事に面接にきた当事者の特徴をお話します。
※ナベシャツは商標登録されているためナベシャツという名前で販売はしておりませんでした。
ここではわかりやすくするためナベシャツをいう名前を使用させていただいております。
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*記事は各ライター個人の体験談や考えでありGID当事者全員の考えを表しているものではありません。
またその内容によって特定のセクシャリティーを差別するものではありません。
*治療などの医療行為は医師にご相談ください。
