民間の同性パートナー証明書!後編

 
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熊野海斗

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戸籍変更・SRS(内摘・尿道延長)済の30代FTMゲイです。トランスとしての体験談に加え、FTMゲイという観点から、性指向の問題についても執筆していこうかと思います。

前編に引き続き、パートナー証明書について考えてみます。
今回は、少し話を広げ、自治体のパートナーシップ条例にも触れてみましょう。

権利と恩恵

「パートナーズ婚」証明書にも、自治体のパートナーシップ証明書にも、法的拘束力がないのは、日本では婚姻が国の法律で定められることだからです。
つまり、同性パートナーの権利が守られるには、法律として同性婚が可能にならなければなりません。
そうでない状況では、特定の地域の人、特定の企業で働く人だけが受けられる恩恵どまりといえます。
問題を解決するには、恩恵ではなく権利の問題だということを意識するのが大切だと思います。

同性婚とパートナーシップ条例

清水晶子さんによると、自治体のパートナーシップ条例は、国が婚姻平等(同性婚)に手を付けず、お茶を濁しながら現状を維持する隠れ蓑として機能するということです。
国がこの問題に着手しようとすれば、戸籍制度に踏み込むことになります。一方、自治体がいくら条例を作ろうとも、何の法的効果もないのだから、自治体も国も失うものはほとんどありません。
だから、何の権利も保証しないまま、LGBTフレンドリーをアピールすることができるということです。(清水 2017a :140 , 2017b :13)

これは民間団体の「パートナーズ婚」のことではなく、自治体の条例のことです。しかし、まったく無関係な議論ともいえないでしょう。
「民間団体や企業がLGBTを理解し、同性婚できなくても同性パートナーは社会に認められている。だから法律を作るまでもない。日本はLGBTフレンドリーです」というように。
でも、それは法律ではないので、「パートナーズ婚」が利益の出ないことがわかり、民間団体がそれを廃止して、企業も撤退したら……。

おわりに

「LGBT」という言葉は広まってきて、たしかに良くなった面もたくさんあります。
一方で、権利が保障されるための困難はまだまだ大きいですし、困っている当事者を利用して利益を得ようとする人々も出てきました。
「レインボー!」「虹色!」「自分らしく!」と言って、キラキラして、自撮りをツイッターに載せたりして、何も調べず何も考えずにいるだけでは、簡単にカモにされてしまいそうですね。
十分に注意していきたいと思います。

参考文献

清水晶子 2017a 「ダイバーシティから権利保障へ トランプ以降の米国と『LGBTブーム』の日本」(『世界』2017.5岩波書店 134-143)
清水晶子 2017b 「バックラッシュ・『同性婚』・憲法24条」(『女たちの21世紀』No.90 2017.6 アジア女性資料センター 12-14)

 

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