2017年1月29日更新

FTM・FTX体験談

性同一性障害当事者が恋愛でぶちあたる”性別の壁”

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熊野海斗

熊野海斗

戸籍変更・SRS(内摘・尿道延長)済の30代FTMゲイです。トランスとしての体験談に加え、FTMゲイという観点から、性指向の問題についても執筆していこうかと思います。

性同一性障害の人は、その性別のために、恋愛において何らかの壁に直面することがあると思います。
今回は、その問題について書いていきます。

 

1、認識の壁

私の初恋は小学1年生のときで、相手は同級生の女の子です。
しかし、それが初恋だったとわかったのは、7年も後の話になります。
なぜかというと、私が自分をFTMだと理解したのは、初恋から7年後の中学生のときだったからです。
それまでは、女性であることに苦痛を感じながらも、自分が男性だという考えはありませんでした。また、当時は異性愛が普通で正常であるということは、疑いようのない事実でした。同性愛は異常、むしろ日常的な世界には存在しないものとして、扱われていました。そんな中で、女である自分が、女性に恋愛感情を持つなど、思いつきもしなかったのです。
子ども心に、何だか変な感情だなあと、感じていたことを覚えています。
とくに友達として親しいわけでもないのに、その子の隣の席になりたいとか、同じ班になりたいと思ってしまうのは、なぜなのか。そして、その子のことを心の中で、「かわいい」と思っていました。
このように、自分が性同一性障害だと気づいてない間には、自分の恋愛感情に気付かない、それを恋愛だと認識できない、という可能性があるといえます。

 

2、結婚と子どもの壁

大学生になって、私は初めて女性と付き合いました。

このときには、金八先生というドラマの影響もあって、性同一性障害はある程度知られていました。私自身も、ホルモン治療や胸オペ、改名を済ませ、男性として過ごしていました。
そんな中で、FTMだということをカミングアウトしたうえで、その女性と付き合うことになりました。
その女性は、私のことを男性として見てくれ、GIDについて理解もしてくれました。
あるとき、同年齢の彼女の友人が妊娠し、結婚することになりました。
その友人は、私もよく知っている子で、その子の彼氏も一緒に、4人で遊びに行ったこともありました。
そのときの私は、戸籍の性別変更はしておらず、AIDなどの知識もほとんどありませんでした。そこで、恋愛までは「普通の」男女と同じでも、それから先、結婚や妊娠ということに関しては、「普通」にはいかないのだなと感じました。
一方で、この壁に関しては、私は必ずしもデメリットばかりだったとは思いません。
友人夫婦は、いわゆる「できちゃった婚」であり、20歳前後の時期に、結婚・育児という生活に入らなければなりませんでした。「恋愛」を楽しむ間もそこそこに、経済的な問題、現実的な問題に直面することになります。
私の行っていた高校は、いわゆる「底辺」の高校であり、そこでは高校生のうちに妊娠し、退学していく人も少なくありませんでした。
結婚および子どもがつくれないということは、そのようなことに巻き込まれないということでもあります。少なくとも、高校・大学時代の私は、結婚できない、子どもがつくれないことを、どちらかといえば肯定的に捉えていました。

 

3、ゲイの壁

ここまで女性との恋愛の話ばかり書いてきましたが、実は私はFTMゲイで、男性が好きです。
かといって、上記の2つの話も嘘ではありません。性同一性障害の人の性指向が変化することは、時々あるそうです。また、性同一性障害でなくても、性指向の変化というのはあり得ることです。
この話を続けると長くなるので、ともかく私は高校生以降、徐々に性的指向の対象が男性へとシフトしていき、今では完全に男性だけを好きになると考えてください。
この場合難しいのは、パートナーがほしくても、ゲイのためのイベントには参加しづらいということです。実際に、ゲイの方が「自分は、完全に体も男性の人じゃないと、パートナーとしては無理かな」と言っているのを聞いたことがあります。なので、身体が完全に男性でない自分は、ゲイの中には入って行きづらいのです。
一方で、身体が完全に男性でない、生まれたときは女性であった、ということは、プラスに働くことがあります。私の感覚では、一般的な人(主にシスヘテロ)に、拒絶・否定される度合いが低いと思います。
同性に好きだと告白してだめだった場合、単にふられてしまう、というだけではありません。相手から、一切近寄って来るなというように拒絶されたり、ゲイだということをアウティングされたり、そういうリスクが伴ってきます。
性同一性障害というのは、「障害」「病気」という認識が広まっていることもあり、現在、カミングアウトをしても、あからさまな差別や偏見のまなざしを向けられることはものすごく減ったと思います。しかし、同性愛に関しては、まだまだ差別が強いと感じます。これは、私が「性同一性障害だけをカミングアウト(男として埋没しているが、実は生まれたときは女だったと言うこと)」した場合と、「ゲイであることだけをカミングアウト」した場合の他人の反応を比較し、その経験から実感していることです。
したがって、性同一性障害の人が、同性に告白する場合(これはFTMでいうと、男性に告白する場合となります)。「性同一性障害をカミングアウト」「告白」の順でいくと、拒絶の可能性と度合いが低くなるように思います。付き合ってもらえるかは別の問題で、だめだった場合に、拒絶の度合いが低くなるという意味です。
FTMでゲイの場合、「元々は女なんだし」「女の心も残っているのだろう」という意識が相手の中で働くことで、許容される確率が上がるのだろうかと、推測もしています。それはFTMとしては、あまりうれしい考え方ではないですが。あからさまな攻撃、拒絶が少なくなるという意味では、メリットともいえるのでしょう。

 

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戸籍変更・SRS(内摘・尿道延長)済の30代FTMゲイです。トランスとしての体験談に加え、FTMゲイという観点から、性指向の問題についても執筆していこうかと思います。

*記事は各ライター個人の体験談や考えでありGID当事者全員の考えを表しているものではありません。
またその内容によって特定のセクシャリティーを差別するものではありません。
*治療などの医療行為は医師にご相談ください。

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