2017年8月8日更新

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アライになるのはやめよう!?

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熊野海斗

熊野海斗

戸籍変更・SRS(内摘・尿道延長)済の30代FTMゲイです。トランスとしての体験談に加え、FTMゲイという観点から、性指向の問題についても執筆していこうかと思います。

私はFTM当事者ですが、アライという言葉があんまり好きではありません。
誤解しないでもらいたいのですが、たとえアライステッカーを貼った人を見たり、「自分はアライです」と言っている人を見ても、その人を嫌いになったりだとか、否定的に見たりはしませんよ。むしろ、そういう人は性的指向や性自認のことで攻撃してこない(はず)なので、そういう面で安心できるのは確かです。
にもかかわらず、「アライ」という言葉が苦手なのはなぜなのか。2016年4月という、けっこう前のことになりますが、NEWS ZERO(2016.04.05)でアライの特集がありました。この特集が、アライという言葉の問題点をよく示していると思ったので、これに触れつつ書いてみましょう。

ZEROのアライ特集

まずこの放送の内容を簡単に紹介しますね。

1、アライとは

この放送でいうアライとは、性的マイノリティを理解し支援する非LGBTの人のことを指しています。

2、証券会社の取り組み

某証券会社では、2014年にアライステッカーを作成しました。これを、アライの社員が自発的にパソコンモニターなどに貼っています。
別の会社から転職してきて、カミングアウトをしているLGBT当事者はこのように話します。以前の職場では正直に自分のことを話せず、同僚との間に距離感を感じていた。しかし会社にアライがいることで、ありのまま自分と接してくれ、それだけでも仕事に集中でき、ストレスなく働ける、と。

3、アライを増やそうという若い世代の動き

愛知県で開かれた「LGBTを知る会」には大学生を中心に約50人が参加。これを開催したのは、ゲイの当事者とアライの人で、二人とも20代です。
二人が期待するのは若い世代からアライが増えていくことです。
アライになるには何から始めたらいいのでしょうか。二人は答えます。LGBTという言葉を知ると同時に、それはどういう存在でどういうことに困っているかを知れば、アライになる一歩です。これが私が思う「正しく知る」という段階です。

4、LGBTのためのショッピングタイム

衣服を販売する企業が、某NPO法人と共同で閉店後の店内にLGBT当事者約30人を招き、ショッピングイベントを開催しました。
参加者の「体の性は女性、心の性は男女どちらでもない」人は言います。普段は買い物に来ても人目を気にするため、店員のアドバイスは受けません。この日はアドバイスを受けて購入し、自分がどう思われているか気にしないで服が買えるっていいなと思いました。

5、まとめ

取材した方は皆さん、「正しく知ってもらうことが大事」と言っていました。たとえば恋愛の話で、「彼・彼女」という言葉を使わないなど、ちょっとした気遣いがありがたいと言っていました。
差別は無知や偏見から始まります。LGBTをはじめ基本的人権にかかわることは幼いころから丁寧に教えてほしいと思います。

アライとSOGI

さて、私が「アライ」という用語について疑問を感じるのは、LGBT当事者と非当事者を2つに分割する点です。理解し支援「される側」であるLGBTと、理解し支援「する側」であるアライ、というように。
このような考え方があるので、上記ニュースのように、「気遣い」が「ありがたい」というような言葉が出てくるといえます。
でも、「LGBT」当事者のみなさんに聞いてみたいですが、「気遣い」されたいですか? そして、「気遣い」されたら、ありがたいと思いますか? 私はそんな扱いされたら嫌ですね……。
「恋愛の話の時に、彼・彼女という言葉を使わない」という行動は、「気遣い」でしょうか。必ずしもそうとは言えません。その人が「恋愛というのは異性愛とは限らない」という知識を持っていて、それが当たり前の感覚になっていたら、自然とそういう行動をとるでしょう。「LGBTを知る会」を開催した人たちは、そんな状況を作ろうと思って講演をしたのではないのでしょうか?

アライになるよりも

アライになりたいという皆さんに、私はもういっそ「アライになるのはやめましょう」と言いたいです。
もちろん、「LGBT」の人を攻撃して差別しましょう、なんて言っているのではありません。
「LGBTの人たち」という他者のことではなく、自分自身にも関わることとして、性的指向や性自認の問題、人権の問題を考えてみることをお勧めしたいです。
「正しく知る」ということが大切だと、放送の中でも言われていました。私もそれは大切だと思います。放送では「LGBTという言葉」「どういう存在でどういうことに困っているか」を知るのが大事だと言っていました。
これに私は付け加えたいと思います。それを知ることによって、自分の中の「当たり前」を疑ってみてほしいと思います。「異性愛でシスジェンダーであることは当たり前ではない」ということがわかれば、たぶん「気遣い」なんてしなくても「恋愛の話で彼・彼女という言葉を使う」ことも減っていくでしょう。
アライが増えるより、そういう人が増えてくれる方が、私にとっては生きやすい社会かもしれないです。

おわりに

「基本的人権にかかわることは幼いころから丁寧に教えてほしい」と、放送でも言われていましたが、私も同感です。
LGBTのことを人権問題として捉えるなら、「気遣い」とかそういう問題ではありません。
ましてや、経済的利益やマーケットとは関係のない問題だといえるでしょう。

 

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熊野海斗

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戸籍変更・SRS(内摘・尿道延長)済の30代FTMゲイです。トランスとしての体験談に加え、FTMゲイという観点から、性指向の問題についても執筆していこうかと思います。

*記事は各ライター個人の体験談や考えでありGID当事者全員の考えを表しているものではありません。
またその内容によって特定のセクシャリティーを差別するものではありません。
*治療などの医療行為は医師にご相談ください。

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